地に足をつけて生きろ! 加速文化の重圧に対抗する7つの方法
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目次
イントロダクション 生き急ぐ人々
第1章 己の内面を見つめたりするな
第2章 人生のネガティブにフォーカスしろ
第3章 きっぱりと断れ
第4章 感情は押し殺せ
第5章 コーチをクビにしろ
第6章 小説を読め―自己啓発書や伝記を読むな
第7章 過去にこだわれ
結論 加速文化におけるストア主義
付録 ストア派思想
こちらの記事経由で読んだ本: 最新メタ自己啓発本を読んで意識を高次元へ引き上げろ - 本しゃぶり
たしかにこの世界観だと安息日は訪れない。変化に適応するためには常に学習し続ける必要がある。僅かな寸暇を惜しんで学ぶため、情報を流し込むイヤホンは常時着用*9。もちろん休日も無駄にはできないのだから、きっちり管理していく*10。それで精神が摩耗するようであるならば、マインドフルネスで回復だ*11。こんな追い立てられた人生が幸せと言えるのか*12。
そんな加速文化に嫌気が差した人のために本書がある。ストア派の教えを活用し、「心の平穏」を目指してやるべきことを提示する。それは加速文化で求められる行為に対して真逆と言っていい。各章のタイトルを見れば、それが分かるはずだ。
ずっと 赤の女王仮説のような世界で全速力で走る前提で生きるのって幸せか?という問い
著者はデンマーク人
デンマーク人はたくさん自己啓発書を読んでいるらしい
どの国も自己啓発ブームが起きているのではないか
学習しては、それが陳腐化するのを繰り返す日々は虚しいのではないか?
賽の河原で生きているような感覚
陳腐化する可能性が高い目新しいことばかりやるのは穴の空いたバケツに水いれてるようなもの
陳腐化しやすい知識と陳腐化しにくい知識を見据えたい
加速主義では、人は世界中のありったけの体験を味わい、人生を「生ききった」と感じたいと願う。ところが世界が提供してくれる体験の数は実質的無限なので、どんなに頑張っても、人生の可能性を味わいつくしたという感覚を得ることができない。
セラピーやコーチング、マインドフルネス、ポジティブ心理学、健康最優先の生活などに囚われた人々を「ウェルネス症候群」とも呼ぶ
自分もこの傾向にあるkidooom.icon
オルトレキシアになりかねない
要はバランスである
第1章 己の内面を見つめたりするな
「自分の内なる声に耳を傾けて直感に従おう」というアドバイスを聞くな
自分の内なる声なんてものは移り変わりが激しい一瞬のノイズに過ぎないことが多い
情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論でいう、身体予算管理領域(body-budgeting regions)の影響下で作られる情動の影響の産物
本物のテロリストであるよりも、偽物のマザー・テレサであるほうが疑いなく優れている
我々は基本的にパラドックス製造マシーンである
XXしすぎるとYYになる
健康を意識しすぎると、逆に不健康になる
困った人を助けすぎると、逆に依存が深まってもっと困った人になる
自己実現のために自分がやりたいことだけをやるほど、自分のことを見失う
やりたくないことをやってみることで分かることや学べることがある
自分がやりたくないことを敢えてやってみることは、将来の自分のためにもなる
ストレスは体に良いと思うと、無意識によくなる
使ったことがないのでよく分からない不安を解消できる
作る経験はコピーできない
「今を生きろ!」「Just Do it!」「どうせ死ぬならいつ楽しむの?今でしょ!」のような加速文化の主流に乗っかるな
ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスは自省録の中で、「肉体の衝動」に耳を貸すなと述べている
肉体の衝動に耳を貸すほど、肉体の奴隷になる
ストア派の考えは、自分の内面に答えを探しに行かず、気の進まないことを実行に移すこと。
クリップパラドックス、将来の優位性のために今は甘んじて痛みを受け入れるに近い考え
第2章 人生のネガティブにフォーカスしろ
p48
自分が死ぬ存在だということを毎日考えて暮せば、生きていることのありがたみをもっと味わえる。これが「死を思え」というストア派の金言の意味である。
おまえもしかしてまだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?
現代の加速文化では過度なポジティブ思考に支配されているという批判
ポジティブでなければならないという呪縛
生きるありがたみを知るために、たまにはネガティブにもフォーカスを当てよう
筆者は「ポジティブ心理学を攻撃したいために」ネガティブにフォーカスを当てた章を用意している
これを真に受けて、常にネガティブ思考に支配されるのはもっと不幸になる
健康のありがたみ
体調不良になってから、健康のありがたみを感じる
腹痛になってから、食生活で後悔する
会社組織の目標面談や査定に縛られた世界観では、強制的なポジティブが常に発生していると指摘している
ここはまあ納得kidooom.icon
大きな目標を目指さないと評価されない
ずっと成長していないと評価されない
「もっと愚痴を言え」というアドバイスがあるが、あまり真に受けないこととする
愚痴を言うことで周りから嫌われたり、自分自身を嫌な奴にするのは懸命な判断ではないと思うから
第3章 きっぱりと断れ
ここも極端なアドバイスがあるので真に受けてはいけない
p70
1日5回以上ノーと言うようにしよう
この断言は流石にどうかと思うkidooom.icon
本当に1日5回以上ノーと言ったらどうなるか分かってる?
行き過ぎた逆張り断定は好きではない
「加速主義ではイエスマンが多くなりすぎてるよね」と批判したいようだ
ポジティブ思考による影響が大きい
何でもイエスと答えて引き受けていると、陳腐化した知識に埋もれて気づいたら死んでしまうよという指摘
懐疑主義の姿勢を持って、何でもイエスと言うな、もっと疑え
これぐらいのアドバイスが妥当
イエスでもノーでもなく、保留・エポケー・ネガティブ・ケイパビリティの態度を取ろう
だから冒頭の「1日5回以上ノーと言うようにしよう」というアドバイスは「ノーという決めつけ」が懐疑主義から離れているので誠実では無いなと感じた
第4章 感情は押し殺せ
第2章で「ネガティブにフォーカスを当てよう」と主張しているが、ネガティブな感情は見せるなとも主張する
ネガティブな感情はあくまで現状のありがたみを感じるためや、改善行動を促すためのものであって、周りに不機嫌な態度をしたら嫌われてヤバいよと今更展開している
2章でも一応言っておいたほうがいいんじゃない?と思ったがkidooom.icon
ネガティブな感情が成功を呼ぶ
ポジティブ思考への批判でもある
特に怒りは打ち消すべき感情であるとストア派のエピソードなどからも主張している
p106
怒るには人生は短すぎる。心の平静を乱し、地に足をつけた行動を妨げる感情は、抑制することを学ばなけれればならない。地に足をつけるためには簡単に歩調を乱されないことが肝要だ。我々はテレビ、ソーシャルメディア、公告など、常に感情に訴えかけるものに囲まれており、それによって自分の求めるものが変わってしまう。刹那的な欲望を追い求めていては地に足をつけられない。地に足をつけていないと自分の義務を果たすことができない。したがって自分の感情を抑えることを学ぶべきだ。
地に足をつけてコツコツ着実に安定した行動を取れるために、乱される感情は抑制しようという提案
一発逆転を狙うのでなく、〈スモールステップでできることを少しずつ着実に増やす〉という戦略を取るや迂回生産は確かに安定性が必要
逆には、安定しきった人生は、死と同然でもあるので、安定しすぎないことも大事かなと思う
XXしすぎるとYYになる
中庸はつまらないが、重要だ
第5章 コーチをクビにしろ
実際にコーチを雇っている人は少ない
ここで筆者が指しているコーチは、加速主義を奨励する自己啓発書や空気全般のこと。
第6章 小説を読め―自己啓発書や伝記を読むな
自己啓発書は一種のアヘンのようなものとなっていて、ただ気持ちよくなるためだけの読書は逆に毒
第7章 過去にこだわれ
マーク・トウェインの言葉
「後ろめたさがまったくないのは物覚えの悪さの証拠だ」
過去の自分を恥ずかしく思ったら、成長・変化してる証
失敗は自分のキャパ上げに使え
地に足をつけて生きていくためにも、過去の経験で得た知識は重要だ
結論 加速文化におけるストア主義
付録 ストア派思想
他の解説記事:デンマークの心理学者「人生の最適化とか言ってると逆に人生を詰むぞ」 | パレオな男
もちろん、人間が何かを求めるのは自然なことだが、努力と成長ばかりにこだわると、「私は価値あることをしている。私は有意義な人生を送っている」と思うためだけに人生が消費されていく。